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『「永遠の目標」に』

ペンネーム:めーちゃん

挿画01 私は若いころ、K先生という100歳で亡くなるまで生涯現役で茶道の指導をされた方の、身の回りのお世話をさせていただいたことがありました。毎日、先生が当たり前のようにされる一つ一つに感動し、こういう生き方ってすてきだなあと思うことばかりでした。

 例えば、食事をお持ちした時、まず運んだ私に対して「ありがとう」と声を掛けて下さり、頂く前には手を合わせ、深く頭を垂れて、食事を作って下さった方や食材の一つ一つに感謝をなさっていました。とにかく一に感謝、二に感謝、すべての物、周囲の人々に感謝の心で接するお姿には、年齢とは関係ない美しさが漂っていて、心から憧れを抱きました。

 すばらしいなあと感じたことは、どんなことにも正面から全力で臨まれることでした。食事をする時も、一生懸命よく噛んで、しかも楽しくにこにことおいしそうに召し上がるお姿は、とても印象的でした。

 また、日に何度もお茶の稽古に行かれるのですが、その都度、着物を着替えられるのです。訳をお尋ねすると「こんなお婆さんに教えられる方々にはせめて喜んでいただけるように」とのこと。若い人を教える時には「ちょっと派手かもね」と笑いながらも華やかな着物をお召しになる。高齢の方々のお稽古には落ち着いた物にと、自分に妥協せずお召し替えをして出掛けられたのでした。「自分のできる精いっぱいの真心を込めて」が先生のモットーで、それをいつも実践されていたのでした。

挿画2 ある時、私がお花を活けた花入れが何かの不具合で割れて、お部屋を汚してしまったことがありました。「形のある物はいつか必ず壊れるものです」と、静かに言葉を掛けて下さりながら、優しくほほ笑んで下さったお顔は、今も忘れることはできません。自分には厳しく、人には限りなく優しい先生でした。

 憧れの先生には何一つ及びませんが、「永遠の目標」にと思い続けている私なのです。

 

  
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