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心温まるエピソード
『適度な距離』 

挿画

 タエコは夫のマサルの声が聞こえたような気がしたので、「あら、何か言ってたかしら」と言うと、マサルからは、「いや、いいんだ、自分でやるから」と返ってきました。
 タエコはちょっと引っかかるものを感じます。そう言えば、このところこういう場面が何回かあったような。

 マサルはエンジニアとして忙しく働き、タエコは3歳になる娘を保育園に預けて事務のパートをしています。娘も3歳になると口も達者で動きも早く、家でも「そこ、危ないわよ」「そこはそうじゃなくて」と、目が離せません。

 そんな日が続いたある日、タエコは久々の休みを家の用事をしながら、テレビに映る午後の情報番組を見ていました。
 番組に登場していたのはある武道家です。司会者が、「武道で一番大切なことって、どんなことなんでしょう」と尋ねます。私が「決まってるじゃない、トレーニングよ」とつぶやくと、武道家はこう答えたのです。「間合いですね。相手との距離の取り方です。間合いのコツをつかむと上達は早いですよ」。

 タエコは画面に見入ってしまいました。相手との距離かぁ。やがて保育園に娘を迎えに行った後で夕食の仕度。いつものように娘のしぐさが気になりますが、タエコは思います。
 私って、娘との距離が近過ぎるんじゃないかしら。だから気にしなくていいことまで目についてしまうのかも。

 そこへマサルが帰ってきて言います。「おお、今日は家の中が随分ときれいじゃないか。頑張ったんだね」
 タエコはがく然としてしまいました。いつも仕事でくたくたに疲れているのに、家に入った第一声が片づいている部屋のことだったからです。それに比べて私、自分と娘のことばかりに関心が向いているじゃないの。

 夫との距離、私が遠くしてたんだわ。よし、夫との距離をもっと近くして、夫婦の間合いの達人になるぞ。

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