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『「舞踊家の門を開いた友」に拍手』

ペンネーム:Hanae

挿画01 私には現役のスペイン舞踊家の友人がいます。一緒に宝塚音楽学校に入学し、寮の隣同士の部屋で生活した同期生です。学校の授業の中で、私は歌、彼女はダンス洋舞を得意としていました。私たち二人には共通点が一つありました。それぞれに信仰を持っていて、一日の終わりには感謝の祈りを捧げてから休むという習慣を続けていました。

 学校を卒業して宝塚歌劇団に入団してからの彼女は、自分の得意、不得意をよく見極めていたのでしょう。選択できるたくさんのレッスンの中から人気の無い、舞台には使われる機会の少ないスペイン舞踊を選び、一人こつこつと熱心に学び続けていました。何か手っ取り早く使えそうなことばかりを学ぼうとしていた私を含むほとんどの同期生に影響されることなく、黙々とレッスンを積み重ねていったのでした。

 その彼女に数年後に出会ったのは、気ままな旅行でスペインの街を訪れた時のことでした。彼女は続けた努力が劇団に認められ、劇団所属のままスペイン留学をするという、彼女にとってもその後に続く後輩にとっても新たな可能性を見出す道を切り開いたのでした。その後、歌劇団を退団し文化庁の在外研修員として本場スペインで踊りの勉強をしているとのことでした。志を持ち続けたスペイン舞踊家としての一本道を歩き始めた彼女が、黙ってこつこつと積み重ねた努力で、一つずつ周囲を動かし、その場所へたどり着いたというのです。友人としてとても感動しました。

 彼女は今、プロの舞踊家として日本人の踊るフラメンコを追求しています。苦手だったはずの日本舞踊を取り入れて、日本の古典との融合を模索しています。そんな彼女をサポートする舞台美術家が現れ、数多くの賞を受賞しました。自分の持てる技術は惜しみなく生徒に与える指導者としても活躍していて、古巣の歌劇団の振り付け師、文化庁の勧める子供たちの芸術活動への協力も続けています。スペインで知り合ったという同じ芸術を志す画家のすてきな旦那様とも巡り合い、お互いに支え合い刺激し合って、活動の幅を広げています。挿画2

  
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