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『新しい夢に向かって』

ペンネーム:Mirror

挿画1
クイーンズ大学キャンパスの秋

 私が将来について悩んでいたころの話をします。

 父の仕事の関係でカナダのオタワで育った私は、大学の理学部を卒業後、ずっと念願だった日本の国公立大学の医学部へ編入するための試験に挑戦しました。単身日本へ帰り、予備校に通い毎日必死に勉強しましたが、結果は3年間続いて失敗に終わりました。私は泣く泣く医学部を諦めてカナダに戻りました。

 しばらく後に、ある方から頂いた助言がきっかけとなって、オタワの病院でボランティアを始めることになりました。配属されたのは集中治療室で、患者さんご家族のお世話や話を聞いたり、人の出入りを管理したり、家族と看護師との間の連絡係のような役割をしたりと大役が多く、自分がきちんと仕事をこなせるか心配でした。しかし、「もしこれができないくらいなら、自分が医学部に合格できなかったのは当然だ」と思って心機一転、前向きになり、とにかく与えられた仕事に精いっぱい取り組みました。

 そのうちに、働いている看護師さんたちの姿を見て、「すてきだな、こんなになれたらいいな」と感じたのです。看護師さんたちは、どんなに忙しくても患者さんやご家族への対応がとても親切で、いつも笑顔で楽しそうに仕事をしていました。それで私は、そういう輝いた女性になるために、看護師を目指すことに決めました。

挿画2
キングストンのクイーンズ大学キャンパス

 看護学校に入ってからも、少しでもあの看護師さんたちに近づこうと、まずはどんな事でも「楽しいな、私はこれができて幸せだな」と思ってみる事にしました。すると、自然と全てが楽しく感じ、笑顔になれる時間が多くなりました。また、苦手な事をするときでも、「もっとこうしたらできるかもしれない」と工夫のアイディアが浮かんだり、結果がだめでも「次はこうしよう」と前向きになることができました。やがて、周りの人からの対応も良くなった気がしました。自分が楽しい気持ちでいることが、全体を楽しくすることにつながっていくことを改めて感じました。

 受験に失敗したことで、とても大切なことを勉強させていただけました。今は受験に協力してくれた両親や周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。看護学校の2年後の卒業までに、日々成長させていただけるよう、心のバージョンアップを目標に励んでいきたいと思います。

  
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