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『“好き過ぎ”も好き嫌いのうち』

ペンネーム:木枯らし

挿画01 「ここのカツ丼おいしいんだよ。一緒に食べよう」。
 豚肉が死ぬほど嫌いだった学生時代の私は、先輩の好意を断るに断れず、恐る恐る口にしたのです。
 軟らかい歯触りから、何とも言えないうま味が口の中に広がってきました。恥ずかしながら、カツ丼を食べたのはそのときが初めてで、こんなにおいしいものとは思いもしませんでした。
 小学生のころ、酢豚や豚カツの脂身に気分が悪くなったことがあり、それ以後、豚肉を全く受け付けなくなっていたのです。母がカツ丼を作るときは、私の分はいつも親子丼にしてもらうというわがままな生活を送っていたのでした。
 私は、15歳のころから十二指腸潰瘍や胃潰瘍を患っており、食べ物の好き嫌いをせず何でもおいしく頂きなさいと教えられていたのですが、豚肉だけは克服できずにいたのでした。
 しかし、豚肉は克服できたものの私の持病は一向に良くはなりませんでした。

挿画2 月日は流れ、社会人になってある会合に出席したときのこと。昼食を終えてすぐ、講師で来られた先輩のAさんに「君は、胃が悪いんじゃないの」言われたのです。
 私は大変驚きました。「どうして分かるのですか?」と尋ねると、「あなたの食べ方を見ていたらすぐに分かるよ」と言われたのです。大皿に盛りつけてあったリンゴを、次々に食べる私を見て、直感したとのことでした。好きなものを好んで食べることは悪いことではないが、過ぎることが良くないということを教えていただきました。
 嫌いな食べ物は自覚ができても、「好き過ぎ」の食べ物があることは自覚ができていませんでした。不思議なことに、その日を境に私の持病は改善へと向かったのでした。
 食べ物の好き嫌いのもう一つの意味も知っていれば、十二指腸潰瘍や胃潰瘍などを患わずに済んだのかもしれません。


  
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