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『“苦手”はお互いさま?』

挿絵

             ペンネーム:Occhi

 前の職場にいた頃、どうしても苦手な人(Aさん)がいました。まだ新入りだった私が、出勤したAさんにあいさつをしたら、はっきりそれに気づきながらも無言で顔をそむけられてしまいました。その瞬間、私の中にAさんに対する苦手意識が芽生えました。「もう二度と自分からあいさつはすまい」と心に決め、その後は極力関わらないように過ごしていました。

 しばらく後のある日、仕事でやむを得ずAさんに電話を掛けた際に、自分の名前を告げただけで切られてしまうことがありました。はっきりとAさんも私のことをよく思っていないことが分かり、ますます苦手意識は強くなりました。

 しかし、Aさんとはこれからも仕事上、嫌でも関わらなくてはなりません。そこで私はこれまでの思いを改め、「Aさんを絶対にこちらから避けたり、嫌ったりすることはやめよう!」と決意しました。

 決意から2か月後、Aさんに対する見方を変える出来事がありました。思いがけないことから、Aさんのご家族のすばらしさを知る機会があり、そこからAさんに対してもマイナスイメージを払拭できたのです。そうして、私がAさんと積極的に関わるよう努力をしていると、Aさんも次第に笑顔で接してくれるようになり、その職場を離れる前には、Aさんは私を家にも招いて下さることになりました。どうしても好きになれなかったAさんは、苦手な人ではなくなったのです。私がAさんを苦手と思っていた間は、きっとAさんからも同じだけ嫌われていたのでしょう。

 「嫌いな食べ物がある人は、その食べ物からその人自身が嫌われている」と聞いたことがあります。いい歳になっても椎茸が嫌いな私は、ひょっとすると椎茸からも嫌われているのかもしれません。人と同じで、こちらから椎茸に心を開けば(無理にでもおいしい、おいしいと言って食べれば)、苦手な椎茸も振り向いてくれるのかもしれない、とひそかに思いつつ、いまだにあの味を克服できていない私です。

  
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