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『夫と紅葉を楽しむ』

ペンネーム:makogarei

挿画1 森林植物園に夫と紅葉を見に出かけました。夫から誘われたとき、私にも予定があったので、何となく気分が乗らなかったので「私は予定があるから一人で行ってきたら?」と言うと、夫は少し寂しそうでしたので、やっぱり一緒に行くことにしました。

 植物園に入ったものの、紅葉はなかなか見当らず、ちょうどお昼時でおなかもすいていたこともあって、楽しくない気分になってきました。それでも、紅葉の無い山道を黙々と歩いて行くと、ようやく奥の方に鮮やかな紅葉を発見しました。黄色、緑、赤、みごとな紅葉でした。たくさんの人が訪れていて、カメラで撮影していました。夫が私を撮影しようとしたとき、紅葉を楽しんでおられた人が「撮影してあげます」と声をかけてくださったのです。鮮やかな紅葉をバックに夫と並んで写真を撮っていただきました。すてきな紅葉も見て、気分は最高でした。

 ところが、おなかがぺこぺこな状態だったので、しばらくするとまた楽しくない気分になってきました。お昼にかかると分かっていたら、お弁当を持って来るとか、いろいろ準備ができたのにと思うと、何も計画せずにここに来た夫に内心腹が立ちました。しかも、夫は、植物園の出口方向がよく分からないと言います。

 おなかがすいていたので早く帰りたい私は、ますます楽しくない気分になってしまいました。おなかぺこぺこなのになかなか出口にたどりつけず、くたびれてきました。夫はさっさと私の前を歩いていて、すてきな紅葉の景色を見た「最高の気分」はどこかに行ってしまい、夫への不満に変わっていました。そのとき、ふっと(こんな思いじゃいけないなぁ)と気付いたのです。そして、「待って〜」と、夫に追いついて、腕にしがみつきました。そして、腕につかまりながら「お腹がすいた〜」と、甘えて言いました。不思議ですけど、だんだん思いが変わってきて、(あぁ夫が私を連れて行ってくれるんだぁ)と、幸せな気持ちがあふれてきました。

 ついつい自分の思いだけで夫を見てしまう私ですけど、夫に近づいて甘える努力をしています。近づいてみると、夫はなかなかすてきだなぁって、発見があるのです。

  
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