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心温まるエピソード
『夫婦の愛は言葉から』 

 結婚の決まったチハルはちょっぴり不安を抱えていました。というのは友人たちの何人かが、熱烈な恋愛の末にゴールインしたのに、二年か三年で別れてしまっていたからです。「そうだ」。チハルはうらやましいような結婚生活をしている大学の先輩を思い出します。

 先輩夫婦は二人とも働いていて、もうすぐ小学生になる子供がいます。夫婦仲が良くて子供もとってもお行儀がいいんです。
 早速に連絡を取ってみると、会社の帰りに会ってもらえることになりました。

「久しぶりね。結婚が決まったって聞いたわよ、おめでとう」
「ありがとうございます。先輩に教えてもらいたいことがあるんです。どうしたら先輩のようにステキな夫婦になれるんですか」
「あら、私たちだっていろいろあるわよ。ただ、ある人から教えてもらったことは、今でも気をつけるようにしてるわね」挿画
「それって、どんなことなんですか」
「言葉に注意を払うこと、って教えてもらったの。ほら昔から、親しき仲にも礼儀ありって言われるように、夫婦や親子の間でもきちんとした美しい言葉を使いなさい、って」
「へぇ、言葉ですか」
「そうよ。適切な言葉を心がけていると、お互いの人格や内面を土足で荒らすことがないので、人間関係がギクシャクしないのよ」

 愛情はまず言葉からなんだ。チハルは結婚生活が楽しみになっていました。