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『平和の種は心の中に』

ペンネーム:つぐみ

ある日、休憩室のソファーの上にジャケットがぐちゃぐちゃに脱ぎ捨ててありました。次の日もまた次の日も脱ぎ捨ててあるのを見るにつけ、みんなが使う場所なのに汚らしくて嫌だなあという思いが強くなっていきました。そしてその持ち主は私が一番苦手とするAさんであることを知るや、不足もピークとなり、それをこそっと端のほうに押し寄せてその場を立ち去りました。



しばらくすると、「誰ですか? 私の服を勝手に!!」とすごい剣幕で怒鳴っているAさんの声が聞こえてきました。私が「いつも片付いていないのが気になっていたので……」と言うやいなや、「なら何でその時に言ってくれなかったんですか! だまってされたら傷つきます!!!」という言葉に私が「言えないから困っていたんじゃないですか……」と言い返すとプンプン腹を立てて出て行ってしまいました。その様子を見ていた同僚たちは、「当たり前のことをしただけだから放っておいたらいいよ」と口々に慰めてくれましたが、なんか後味が悪くてしかたがありません。そんな時上司が「次に出会った時が肝心だよ。Aさんは癇癪を起こしてしまったことをきっと後悔しているだろうから、一番に気持ちよく声をかけてあげたらいいよ」と、アドバイスしてくださいました。

     

その夜「よ~し!! 明日はこちらから明るく声をかけよう」と腹を決めると、不思議なくらいにその時が待ち遠しくなりました。


    

そして“運命の時”、「Aさ~ん! おはようございます。昨日はごめんなさい」とにこやかに声をかけました。するとAさんからも信じられないくらいとびっきりな笑顔を添えて「おはようございま~す」と挨拶が返ってきました。

    

安堵とともに、喜んですることの醍醐味をかみしめたことでした。
なんてったって驚くほどにAさんと心通う素敵な瞬間(とき)となったのですから。

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