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コミュニケーション

私流の親孝行

ペンネーム : くじら

 一番の親孝行って何でしょう……。親に迷惑を掛けないこと、病気やケガなく元気でいること、毎月の仕送りを欠かさないこと、同居してお世話することなどなど。人それぞれにいろいろな在り方があるでしょう。

 私流の親孝行は、親に何でも頼むこと。車で3分のところに住む一人暮らしの母を呼び出しては、共働きの私たち夫婦を助けてもらいます。ちょっとした仕事や掃除、洗濯。孫の弁当などは喜んで作ってくれます。お年玉は私たち親よりも多額……。いつもありがとうと礼を言う私たちに「何言ってるの、今こうして、させていただけるのがありがたいんだよ。あなたたちのお役に立てるのがうれしいの」と言ってくれます。母は子供や孫の世話をすることでいつまでも元気でいられ、運転免許も更新できているのだと思っているようです。

 親も子供も、そして孫も、ちょうど良いタイミングでみんながハッピーになれる親孝行ができれば、それが一番かな。そんなタイミングに恵まれるように、これからもふだんからちょっとした声掛けを心掛けたいと思っています。

 


遠くにいても近くにいても

ペンネーム : スイートピー

 母のお供をして、お友達のMさんの家に泊まりがけで出掛けた。Mさんは80歳を過ぎた今もお元気で一人暮らし。ちょうど私たちが到着したときに、Mさんの娘さんからも現金書留が届いた。Mさんと母とは大変親しい間柄で、娘さんからのお便りを見せてくださった。『せっかくお友達が来てくださるのだから、冷房もちゃんとつけてくださいね、冷房代を送ります』と、年金でつつましやかに暮らしているMさんへ、援助のお金が送られてきたのだった。「私たちのためにありがとうございます。気の利く優しい娘さんですね」と言うと、「旅行にも、年に一回連れていってくれるんよ」と広島弁で答えてくださるMさん。その幸せいっぱいの笑顔を見ると、こちらまでうれしくなった。遠くに離れていてもMさんのことを大切に思う娘さんがいることを知り、Mさん親子の幸せを思った。

 我が家の場合、4年間主人のお母様と同居して、お見送りをした。そして現在、私の母親と同居して5年目になる。親孝行の気持ちを内に秘めている主人のおかげで、穏やかな同居生活になっている。母と遠く離れて住んでいたときは心配することもあったが、「親のことを祈ることは親孝行になる」と聞いてからは、毎日祈って過ごした。同居生活では、お互いの意見が食い違ってスムーズにいかないときもある。けれど、母がMさんのように少しでも幸せを感じられるようにと祈りつつ、自分に気合を入れて日々を過ごしている。

 


肩の力を抜いて

ペンネーム : うなぎいぬ

 母は昔からとっても肩凝りがひどく、その局所は石のようにカチンカチンになっている。

 もんであげてはみるのだが、一向に効き目がない。それどころか私の腕が折れそうになるので、母の肩もみだけは勘弁してほしいと正直思っていた。マッサージ師に治療を受けてきても、「あんまり変らないわ」と聞くと、ますます敬遠していた。

 先日、膝の手術で入院した母が、看護師さんに「肩が凝って仕方がないんです」とつらそうに言っているのを聞いてしまった……。

 “同じ姿勢でいるから余計肩が凝るのだろうなぁ”と思うものの、楽になるほどじょうずにはもんであげられないし……と、相変わらず及び腰で、「やっぱり母の肩は苦手だなぁ」と思った。

 が、結果を度外視して思い切ってへたなりにさせてもらおうと思い、「お母さん、肩ももうか?」と聞いたら「いいの?」と言って断らなかった。

 やっぱり歯が立たず、「お母さんの肩、本当に石のようだね」と笑いながらもませてもらった。今さら力んでみてもしかたがないよなと思いつつさすり始めたら、母は「あぁ、気持ちがいい」と言いながら、いつの間にかスヤスヤと眠ってしまっていた。

 


親孝行も妻に
              支えられながら

ペンネーム : モモ

 「あ〜おいしかったわ。ありがとう」と、83歳になる母は幸せそうにほほ笑んでくれた。「母の日だから」と和食のお店に連出して一緒に食事をしたが、今日は顔色もとてもよく、歩き方もしっかりしていて、ひと安心。

 未亡人になり独居老人となった母とは、長らく盆と正月に会うだけのつながりになっていた。それが、こちらの転勤で近くになり、定期的に会えるようになった。しかし、改めて母と密接に付合うようになると「こういう人だったっけ?」と戸惑うことも多くなってきた。そこをうまくサポートしてくれるのは妻だ。今日も、口では遠慮する母にデザートを粘り強く勧めてくれた。食後にメニューを気にする何気ない母のしぐさに、妻は気付いていた。おかげで、母にも大満足のランチとなったようだった。「遠慮されている時は、本当はそうしたいんだから、あっさり終わりにしたらだめですよ」などといつも助言してくれ、母が何を好み何を欲するのかが、私にもよく分かるようになったと思う。

 「職場で周囲のお役に立てますように」と私たちの幸福をいつも願ってくれていることに感謝しつつ、少しでも母に幸せを感じてもらえるよう、妻と一緒に親孝行を続けていけたらと思っている。