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愛はコミュニケーション

『パワースポットのある町にて』

ペンネーム : 美猿

 夫の兄妹三夫婦が久しぶりに故郷に集まりました。タクシーを2台呼んで、父とともに町中まで食事に出かけたのですが、その夜はお目当ての焼肉屋さんが貸し切りになっていました。私たちが困っていると、なんて親切なのでしょう、タクシーの運転手さん二人が、携帯でいくつかの店をあたってくださったのです。そして、4軒目でようやく見つかったところが町で人気の居酒屋さんだったのですが、その店に予約までしてタクシーを走らせてくださいました。おかげで家族みんなで楽しいひとときを過ごすことができました。

 山間の小さな田舎町は、パワースポットがあるということで取り上げられて久しく、帰省のたびに道路や駐車場の整備も進んでいます。そんな中で何より心が癒やされたのは、その町のタクシーの運転手さんの親切でした。「人が人のためを思う気持ちは、パワースポットにも勝る癒やしを生み出せる」、夫の故郷が私にそう教えてくれました。

 故郷から戻り、ほどなくして、友人の就職をお祝いするささやかな夕食会を我が家で開くことになりました。私は、あの運転手さんの親切を思い浮かべながら、いつにも増してお料理に心を籠め、友人のお子さんのための飲み物やお菓子も準備しました。主賓の友人からはお料理がおいしかったとお礼の言葉を頂き、お招きした他のお客様からも喜んでいただきました。

 会もお開きとなり、私が食器を洗っている間に夫がテーブルなどを片付けてくれました。そして、しみじみと「いつもこうやって準備してくれているんだなあ」と、普段はあまり口にすることのないやさしい言葉で私をねぎらってくれました。夫もいい気分だったのだと思われて、私もうれしくなりました。

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